メンバーブログ(2026年5月)
【税務実務における一般庶民の疑問】
日本が採用しているのは「申告納税制度」であり、納税者自身が税額を計算し、申告・納税する制度である。
しかし、税法は極めて複雑であり、専門家でなければ理解・判断が困難な場面が多い。
その結果、納税者側に大きな不安と萎縮を生じさせている点に問題を感じる。
1. 主な論点
(1)税法の複雑性と申告納税制度の矛盾
• 自主申告を前提とする制度であるにもかかわらず、税法・通達・判例の構造が複雑であるので、
一般納税者が自力で適正判断することが難しい場面がある。
• 理解困難な制度が前提ながら自己責任を求める構造になっている。
(2)行政裁量の大きさ
税務実務では、以下のような抽象概念が多用される。
これらは明確な基準が乏しく、最終的な判断が税務当局側に大きく委ねられている。
• 「不当に税額を減少させる結果」
• 「経済的合理性」
• 「著しく低い価額」
• 「課税上弊害がない場合」
(3)行為計算否認への不安
• 法令に従った取引であっても、後日「租税回避的」と評価され否認される可能性がある。
• 合法的な節税と否認対象との境界が不明確。
• 納税者は事後否認リスクを恐れ、合理的な経済行為まで萎縮し得る。
(4)「みなし課税」の不透明性
以下のような制度は、実態よりも評価概念に依存する側面が強い。
• みなし贈与
• みなし譲渡
特に非上場株式や親族間取引では、「時価」の判断に大きな不確実性が存在する。
(5)事後否認リスクと納税者負担
• 申告時点では適法と考えていても、後日否認される可能性がある。
• 追徴課税だけでなく、利子税・加算税等の負担も発生する。
• 「まず申告してみなければ分からない」という状態は、法的安定性に欠ける。
2.本質的な疑問
全てを法律で明確化できないことは理解できる。 しかし現状は、法令よりも行政解釈・通達・個別判断への依存度が高く、 税務当局の裁量範囲が過大になっているのではないか。
その結果、納税者の予測可能性、法的安定性、申告納税制度への信頼が損なわれているように感じられる。
3. まとめ
税務行政においては、明確性、予測可能性、公平性、納税者が理解可能な制度設計
を目指して欲しいが、私のような凡人にもわかるような簡素な税制が実現したとすると、
おそらく課税強化された状態(当局がリスクを取らないルールになる可能性)が想像されることに加えて、
我々コンサルタントの出番が減ることも推測できる。
AIの登場に脅威を感じている昨今、それは、それで個人的には困ってしまう。(笑)
文責 (事業推進部) 四茂野

