メンバーブログ(2025年8月)

【承継コンサルにおける家系図(親族関係図)情報の重要性】
承継コンサルをする上で現状把握(実態把握)が非常に大切であるということに、
皆さん異論はないだろうと思います。そのスタートとして家系図(親族関係図)は必須の情報です。
特に事業承継においては、事業に関わっている人と関わっていない人の区別は、事業の承継だけ
ではなく、その後の資産承継(相続)においても重要な要素になってくるからです。
現経営者が創業者である場合、二代目である場合、三代以上続いている場合等様々なケースが
あるわけですが、どの場合にも親族関係を無視した承継コンサルはあり得ません。この家系図
情報ですが、相続時に使う法定相続情報のようないわゆる系図があれば十分でしょうか?その答え
がNO!だということに異論は無いと思います。では他にどんな情報を得る必要があるのでしょうか。
前述した事業への関与度合いも当然ですが、現時点だけではなく、過去の経緯(以前は会社
にいたが今は外に出ている等)も無いと困りますね。また後継者候補として認識されている方
がいらっしゃるのか否かも確認しておきたいものです。無論まだ何も決まっていない、もしく
は、現時点では子供が小さく決められない等のケースは良くあることですが。
もう一つ気にしていただきたいことがあります。それは、その家族(親族)の歴史です。
どういう経緯で現在の場所で事業(もしくは生活)をされているのか?業種の変更はあった
のか?それは何故か?などなどです。様々なドラマがあるに違いありません。中には相続争い
など、恥ずかしい過去で他人に知られたくないとお客さまが思われることもあるかもしれません
が、それを開示頂けるような人間関係を作ることも承継コンサルとしてはとっても大切な
スキルだと思います。
過去の相続トラブルは、誰と誰のどんなトラブルだったのか?そして、どのように解決した
のか?知りたいことは限りがありません。お客さまが積極的に話したくないことは、
実は聞いておくべきこと(知り置かないといけないこと)でもあるのです。
これを尋問のように聞いたのでは、お客さまの信頼を得られていない段階では真実を開示して
いただけないでしょう。何度も重ねる面談の中で少しずつ事実に近づいていくことが必要
になります。つまり、不明点を整理しておくなどの面談前の準備がどれだけ入念にできて
いるかが、以降のコンサルに大きな影響を与えるということです。1回の面談が1~2時間
になることもあるでしょう。その中で話題はあちこちに飛ぶと思います。だからこそ、得たい
情報はしっかり聞き出すという意識がないとせっかくの面談が薄いものになりかねません。
私も面談後「あれを聞きたかったのに…」という後悔を何度もしています。
私は職業柄様々な承継案件の相談にあずかりますが、この家系図(親族関係図)情報が不十分な
ケースを多々みています。極端な話お子様の人数すら間違っていたこともあるほどです。お客さま
を知る!=現状把握(実態把握)が承継コンサルの出発点であるという初心に返って日々の仕事に
臨みたいと思います。
〔理事(事業推進部):四茂野〕